ナツメくんの人気者理論【完】
『もう!頭きた…里緒ちょっとここで待ってて!すぐ、戻ってくるから』
『う、うん』
イライラとした声で薫ちゃんは、そう言い放つとスタスタと、どこかへ行ってしまった。
1人駅前に残された私も、立つことに疲れて、ベンチに座り込む。
その時…、
『ねー、キミ1人?』
『わ〜、超かわいい!オレ、もろタイプなんだけど!』
頭上からそんな声が聞こえてきた。
ちらりと、上を向くとニヤニヤとした笑顔を浮かべる、いかにも軽そうな男たちの姿が目に入る。
『……』
私は、押し黙った。
こういうのは、もう相手にしたくない。私の顔だけでよってくるような最低なやつらなんか。
『ね、シカトしないでよ?』
『暇ならさオレらと遊びにいかない?』
…もう私に話し掛けてこないで!
『………』
『ふ〜ん?否定しないなら…いいよね?』
『じゃあ、行こうか?』
そんな声が聞こえてきた瞬間、私の腕は、その男たちにつかまれていた。