ナツメくんの人気者理論【完】
『真っ赤になっちゃってかわいいわ〜』
『へ?あ、す、すみません』
なんか…からかわれてる気がする。
そう思った時。
『ちょ、母さん!朝比奈さんで遊ぶなよ…』
怒っているような…呆れているような声が玄関に響いた。
その声がしたほうを見ると、眉間にしわをよせたナツメくんの姿が見えた。
『え〜だってぇ〜里緒ちゃん、ちょうかわいいんだもん』
ぷくっと頬をふくらませるお母さんは、高校生の息子がいるとは思えない。
『ったく、いい年して、だもん、とか言うなよな…朝比奈さん、ゴメンな…薫とかもう来てるから…とりあえず中に入ってよ』
申し訳なさそうなナツメくんに私は、首を横にふった。
『ううん、ナツメくんのお母さんと話せて楽しかったし』
『ほら〜綾人!聞いた〜?』
『母さんは、黙ってって』
『綾人のケチ!』
ナツメくんのお母さんは、そう言うと、またもや頬をふくらませていた。