ナツメくんの人気者理論【完】
『いいもん、母さん、グレてやる』
そう言い残すとナツメくんのお母さんは、さっさと玄関から立ち去ってしまった。
『ったく…何歳なんだよ…ゴメン、朝比奈さん、玄関に立ちっぱなしもなんだから…どうぞ』
『お、おじゃまします』
私は、ナツメくんに促されておそるおそる家へと足を踏み入れた。
『オレ、朝比奈さんの分のジュースとか持ってくるから先に部屋に行っといて?二階に上がってすぐのところだから』
『あ、うん』
ドキドキ
…なんか緊張する
ナツメくんの姿を見送った私は、言われた通り二階にあがると手前のドアに手をかけた。
ガチャ
『お!里緒〜遅い!』
そんな薫の声に私は、安心して笑顔になる。
『ゴメン…薫…』
『まっ!いいけどさ』
ニコニコと楽しそうな薫に私も自然と笑顔になった。