shadow boy
謎多き少年
初対面
「ご、ごめん……」
「い、いいって、元々ダメってわかってたもんだし…うん…」
相手の男の子は傷ついた様子で去っていく。
あ~…また傷つけちゃったかな…。
そう思いつつ、その場にしゃがみ込む。
私はいつもそう。
告白されて嬉しいのに、
断ってしまう、悪癖。
「…記録更新、さっきので17人目、ですね。…」
何処からか、私の声以外の声が聴こえた。
「っ誰!?」
そう言って振り返るが、そこに姿はない。
そりゃそうだ、後ろにはプレハブ小屋しかないもの。
「ここですよ。」
でも、その声はまた聞こえた。
上を見上げると一人の男の子が私を見下すように、
屋上のプレハブ小屋の上に立っている。
しかも、仮面を目につけていて、黒いフードを深く被っていた。
「樹崎サンはいつになったら、オーケーするんですか?さっきので記録更新ですよ?」
その男の子は手に持ったノートを開き、読み上げる。
「2-1は、橋本、中崎、飯塚、柳沢。
2-2は、堤、城島、安藤。2-3は、橘、浅生。
2-4は、竜岡、渡島。その他は一年、浅岡、伊田川、三年は千原、須藤、安曇。
今のは、2-1、蓮島 東(はすじま はじめ)でした。」
「な、…なんで、それ、…」
「調べれば分かる事です。それより本題はそれじゃありません。
樹崎サン、貴方はいつ、誰にならオーケーするんですか?」
その男の子は冷静で、ノートをポケットにしまうと屋根から飛び降り、
目の前に着地した。
「答えてください。」
「ちょ、は!?何で教えなきゃならないのよっ!?」
「知りたいからです。興味があり、分かるまで俺は諦めません。」
ずいっと近づくその男の子。
怯むことなく、仮面の向こうから私を見つめている。
「教えてください。…それとも、相手を振るのがご趣味なんですか?」
「違うわよ!!……ただ、オーケー出来ないだけ。」
「…‘出来ない‘…とは、今付き合ってもその人を好きにはなれない。
…そう言うことですか?」
「そうそうそう、そういうことよ。じゃ、私授業あるから。」
めんどくさくなり、早くその場を去りたかった。
踵を返し、屋上のドアに向かって歩いていた、
そのときだった。
「樹崎サン、それなら俺と、
付き合いませんか?」