女王のココロを奪うkiss(休載)


心臓に悪い。

最初の、朝のキスは放心していた。

ただただ、祐斗がこの行為をしてくることに、驚いていた。



でも今は違う。

なんとなく察して、近付いてるのが見えて、祐斗の視線から離れられなくて、そのまま唇を奪われていた。

祐斗は、やっぱり顔が整っている。

モテるのは知ってた。

周りに女の子が群がるのも見てきたし、ナンパで成功してたのも何度も見た。

ちょっと街を歩けば声をかけられるし、喧嘩だって強くて下の奴らから尊敬されている。

ちょっと指導もしてるらしいし。



そんな祐斗が。

なんでもできる祐斗が、あたしを見つめて、あたしが記憶の彼方へ飛んでいる最中にキスをしてくるなんて、なんてズルいんだ。



顔が離れ、祐斗が口を開いた。



「毎朝、家に行く」

「……え?」

「メイクすんだよ。髪も縛って、印象変えて、多少おしゃれした方が女子っぽいだろ」

「……それは、殺姫を隠すため?」

「そう。お前を小岩井かれんにするためだ。赤坂祐斗の彼女、小岩井かれん。名前負けしない、俺好みの女にしてやる」



そう言った祐斗は、再びあたしに口づけた。




もう、反対する気なんて、起きなかった。
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