女王のココロを奪うkiss(休載)
「わかってるなら聞かないでよ」
あたしはムッとして祐斗の足を蹴った。
この男、知っててなんで怖がられてるかなんてこと聞いてくるのか、わけわからねぇ。
「かれんは、男が女をからかう理由がわからない?」
ふとそう聞かれ、あたしは眉間にしわを寄せる。
からかうことに理由があるのか、意味わからない。
「知らないそんなの」
あたしは祐斗が持ってきていたもう一つのパンを奪い、袋を開けた。
自分のお弁当は朝母親が作ってくれたものが鞄の中にあるけれど、それを持ってくる暇なんて祐斗が与えてくれなかった。
まぁ後で食べればいいや。
と、思っていたら、パンを一口食べたところで、それを持つ手を祐斗に握られた。
何かと思って祐斗に顔を向けて睨む。
「なに?」
「俺のパンでしょ?」
「弁当持ってくる暇もくれなかったんだから当然でしょ」
「別にいい、食べるくらい。けどね」
そう言うとあたしを掴んでいるその手を引き寄せ、パンをパクリと食べた。
あたしが一口食べた、その部分を。