女王のココロを奪うkiss(休載)
少しずつ近づく顔に、もう逃れることが出来ない。
触れ合う直前彼は低い色っぽいその声で、こう口にした。
「もう、虜になったか」
その直後、唇に当たる軟らかい熱。
ドクドクと鼓動が加速する。
逃げたいのに、逃げたくない。
逃げられない。
心が祐斗を欲してしまう。
ダメだ、認めたくない。
色恋沙汰なんてあたしに合わない、キモイ、ずっとそう思ってた。
それなのに、そのキスが心地いいと感じてしまっている。
長いキスに、呼吸すら忘れて、祐斗を感じる。
ゆっくりと離れていったそれに、思わず名残惜しく感じてしまった自分に、困惑する。
「かれん」
呼ばれる名前が、何だか特別なもののようにすら感じてしまう。
今の自分はおかしい、おかしいんだ。
息が乱れる、緊張からか、少し震えている。
今声を出したら、確実に震えた音になってしまう。
文句も言えない。
あたしはそんな状態なのに、祐斗は余裕そうで、何だか悔しい。
「かれん、かわいい」
もう、いろいろと限界だった。