女王のココロを奪うkiss(休載)
いっぱいいっぱいで、顔もアツくて、震えてて、頭の中もぐちゃぐちゃで。
後頭部に回っていた腕が、今度は頭の上にポンと乗り、くしゃっと一回撫でられる。
もうどうすればいいのかわからない。
これ以上はやめてほしい。
これ以上あたしに祐斗の男の部分を見せつけないでほしい。
意識させないでほしい。
「どうした?」
そう言ってニヤリと笑う祐斗は、あたしがこの手のことに慣れていないことを知っている。
知っていて楽しんでる。
「……サイ、テー」
最低だ、バカ。
「それならどうして、拒否しないんだよ」
そう届いた言葉に、脳の奥底で何かが引っかかった。
『なんで拒否しないんだよ』
記憶の中で聞こえたその声は、確かに祐斗のもので。
「バカカレン」
『バカカレン』
『なんで拒否しないんだよ』
『止めてくれよ、かれん』
次々と湧き上がってくる記憶の中のその声。
『俺は、もうずっと前から、お前のことが』
「かれん?」
「なに、これ……」
ふわふわと沈んでいく、あの感覚の中で、その声は確かに届いていた。