女王のココロを奪うkiss(休載)


『なんで気付かねぇんだよ、バカ』



ズキズキとしていた頭、あの中での出来事が、今更になってわき出してくる。



『……酔いすぎじゃね?』



これは、そう、あの酔った日だ。



『眠いだろ』

『なんで泣いてんだよ』



熱くて、眠くて、一度意識が途切れたけれど、気配を感じて、もう一度目を開いた。

その、後は……。





サァっと血の気が一気に引いた。

そう、思い出してしまったのだ。

あの酒を飲んだ日の夜のこと。

そう、あの後何度も何度もこの感触を与えられていた事を。



「かれん?」



思い出したくなかった。

思い出さない方が幸せだったんじゃないか。



あの日からあたしは、すでに祐斗から与えられるキスを拒否出来ていなかった。



「ね、寝ぼけた奴相手に襲ってくる祐斗が悪い」

「は?」

「拒否できなかったんじゃなくて、動けなかっただけ!」



今更ながら、あの時の祐斗に文句を吐き出した。



「……もしかして、思い出した?」



答える代わりに、あたしは祐斗を睨みつけた。
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