女王のココロを奪うkiss(休載)
「あの日のことを思い出したなら、もしかして俺の気持ちも思い出した?」
そう聞かれて思わず記憶の中から祐斗の気持ちらしき言葉を探すけれど、それは見つからなかった。
「……アンタの気持ちって何?」
そう返すと、祐斗はチッと舌打ちした。
その態度が気に食わない。
「バカレン」
聞き慣れたその言葉にイラッとした。
もうさっきまでの甘ったるい空気は流れていない。
ここにあるのはいつもの空気、いつも通りの祐斗。
それに何だかほっとした。
さっきまでの空気じゃ息苦しくてたまらない。
ため息を一つついてから、手に持っていたパンを一口食べる。
「間接キスだな」
「む……」
すっかり忘れていたそれを、強引に忘れようともう一口パンを食べた。
「黙れ変態」
「すっかりいつものかれんに戻ったな」
クスクスと笑う祐斗をチラリと見る。
なんでコイツはキスをしてくるんだろう?
男がからかう理由、なにそれ、意味わからない。
それ以上考えることをやめた。