女王のココロを奪うkiss(休載)
そんな事を言われたあたしはぶっ倒れそうになった。
この男、正気か。
頭大丈夫?
どっか変なところに打ち付けて記憶ぶっ飛んだりしたんじゃないよね?
それくらい、今までの祐斗からは考えられない行動だった。
「諦めて」
にこっと、それは楽しそうに祐斗は笑った。
たぶんこれは、あたしたちが手をつないだことによる周りの反応を楽しんでいるんだ。
幼馴染みだからわかる、コイツ悪趣味だから。
こう言った祐斗はこのまま抵抗したところで手を離すことはないだろう。
離そうとしてもうまく丸め込まれて終わる。
祐斗はそういう男。
口がうまくて、弱味で人を操る、そんな男。
「ホント悪趣味、最低、キモイ」
「うん、行こうか」
あたしの悪口だってこんな風に簡単にスルーする。
そのままあたしの手を引いて学校から出た。
けれど、いつもと帰る方向が違う。
中学の方向とも違うから、祐斗が一体どこに向かっているのかわからない。
「祐斗」
「なに?」
「どこ行くの?」
「まだ秘密」
そう言ってニヤリと笑う。
これは何かを企んでいる時の笑み。