女王のココロを奪うkiss(休載)
やだ、この雰囲気。
また呑み込まれそうになる。
祐斗のこの雰囲気に。
「認めろ」
甘く囁かれるその声は、あたしにしか聞こえない。
「やだ……」
「お前は、俺に逆らえないだろ?」
怖くなる、またあの時の祐斗に動きを封じられるんじゃないかって。
流されてしまうんじゃないかって。
「違う」
「お前はもう俺から逃げられない」
逃げたい、祐斗なんてなんとも、思ってないはずで。
でも徐々に力が抜けていくのはきっと、祐斗を受け入れてしまっているからで。
それでもまだ頑なにあたしは認めたくなくて。
「ほらな」
「違うってば」
すでに抵抗心は消えていた。
一体あたしはどうしてしまったのか。
こんなんじゃなかった。
もっと男みたいで、喧嘩ばっかりやってて、恋とか愛とかそんなのとは無縁の女だったはずだ。
でもそれを、あたしの知らないあたしを、祐斗は簡単に引き出してしまう。