女王のココロを奪うkiss(休載)
「げ……」
そう反抗したものの、母親は都合の悪い言い分はスルーする傾向があるため、一度言い出した言葉は曲げられない。
母が決まりと言えば決まりになるのがウチなのだ。
「帰りに二人で好きなケーキでも買って来なさい!」
と、渡された1000円札に。
「まじで!?いいの!?」
と、不覚にも喜んでしまった。
それが今日、入学式の朝の出来事である。
そしてあたしたちは始業式が終わると共に、ケーキ屋に直行。
男女が一緒に帰るという構図になるが、口喧嘩は絶やさないため恋人には到底見えない。
だから気軽に帰れるというのもある。
「たらいまー」
「お邪魔します」
家に入るとともにニコリと表情を変えた祐斗は、いつものこと。
そして勝手にあたしの荷物を奪ってあたしの部屋に行って自分のと一緒に荷物を置いてくるのも、いつものこと。
幼馴染みにだからか遠慮がない。
そして慣れた動作だから違和感もない。
もはや当たり前だ、この家に入った時だけ見せる、エセ紳士祐斗なんて。