女王のココロを奪うkiss(休載)
素直になれないあたしは、この感情に知らないフリをする。
胸の奥底から湧き出してくる、アツいなにかに呑まれそうになるけれど、全力で逃げている。
逃げなければ、捕まってしまう。
ふと、祐斗が鼻で笑ったのを感じた。
なんなの?と祐斗を睨みつけると、ニヤリと奴は笑っている。
これは……またなにか企んでいる証拠だ。
「おいお前ら」
祐斗はその場にいる奴らの注目を集めた。
あたしはというと、まだ開放されていない。
「悪いな、俺ら今日は帰る。今度から集まりはここでするから来てないやつにも教えとけ」
帰る……?
「おす!!」
「お気を付けて!」
祐斗はあたしに視線を移し……
ちゅ
「……」
信じられないことに、大勢の注目が集まる中、額にキスしやがった。
「帰るぞ」
呆然と固まっているあたしを解放し、腕を掴んで出口へと引かれる。
あたしは脳内で処理しきれない事態に頭がパンクしそうになりながら、祐斗に引かれるがまま階段を登る。