女王のココロを奪うkiss(休載)
外へ出ると、祐斗は手を繋ぎ直す。
さっきの衝撃が強くて、まだ頭が真っ白であり、顔に熱が集まっているのを感じてしまった。
「赤いな」
そんなあたしをみて、祐斗は笑う。
誰のせいだ、バカ。
また祐斗に腕を引かれ、家に向かって歩き出す。
あたしにはもう、抵抗する気力なんてなかった。
祐斗は迷わずあたしの家へ、そして部屋へと連れて行った。
帰った時、家には誰もいなかった。
部屋の扉を閉めれば、もうそこは祐斗の素が現れる空間。
いつもなら、あたしと祐斗が言い争いをする空間。
でも今日は、部屋に入ってもどうすればいいのかわからず、ドアの前で立ちっぱなしでいた。
「ほんとに、お前色恋が関わることには弱いな」
そう、あたしをからかう声が聞こえる。
「……うっさい」
頑張って強気でいるけれど、もう二人の空間はいっぱいいっぱいだった。
勉強机の椅子に腰をおろす祐斗は、いつも通りにみえる。
けれどふとした瞬間に仕掛けてくるもんだから、気を抜けない。