女王のココロを奪うkiss(休載)


「な……なにすんの!?」



怒らせたのか、いやでもニヤリと今は笑っている。

薄暗い部屋の中、祐斗の表情、嫌な予感に冷や汗が出る。



「あの時の記憶は忘れるし、帰れとか言うし、俺の気持ちなんて全く気付いてなさそうだし」



そう言ってあたしの横に片腕を伸ばすと、ベッドがギシリと1度鳴った。

最近の祐斗は全体的に近い、顔とか近い。

捕らえられたその瞳に、逃げろと脳が叫ぶけど、逃げられない。

その瞳はあたしを逃がさない。



グイッとさらに近付く顔に、反らせない瞳。

呼吸を忘れてしまう。



顔を傾けた祐斗を見て、思わず目をギュッとつむるけれど、何秒経っても何も起こらない。

え?と思い、片目を開いた直後、頬に当たる柔らかい感触。



「なにすんの」

「キス」



今度はあたしの左手を手に取り、そこへ口付ける。



「……なにがしたいの」

「お前の心を乱したい 」

「は!?」



今度は額へとその唇を近付け、そこに当てた。

キスをされたところから、甘い痺れが広がる。

ドクドクと鳴り響く心音に、緊張が高まる。

< 55 / 86 >

この作品をシェア

pagetop