女王のココロを奪うkiss(休載)
グイッと顔が近付き、あたしの心臓がドクンと大きく鳴る。
ドクドクと心音が加速する。
息が苦しい。
薄暗い室内、けれど近い距離で祐斗の顔はしっかりと見える。
顔に熱が集まる。
「今日はこれで終わりにしてやる」
そう言った祐斗はその顔を近付け、唇に柔らかい感触が当たった。
またされてしまった、そう思うと同時に、本当は逃げられたんじゃないか?そうとも思う。
なんであたしは逃げられないのだろう?
どうして反撃出来ないのだろう?
なぜ雰囲気に飲み込まれてしまうんだろう。
それは──。
長いキスを、あたしは受け入れてしまっていたような気がする。
自分の心がわからない。
知る必要があるのかもしれない。
でも知りたくない。
知りたくないのは、なぜだろう?
拒否されることを、恐れて……?
唇が離れ、祐斗がまた柔らかくあたしの頭を撫で、起き上がった。
「また明日、な」
「……帰るの?」
「帰ってほしくない?」
おかしい、なんでこんなに、心が寂しく感じるの。
帰れって言えばいいじゃん。
でもなぜか、言いたくなくなってしまったこの口からは言葉が出ない。