女王のココロを奪うkiss(休載)
「そんな顔されたら、ここで我慢した意味がなくなるだろ」
今あたしは一体どんな顔をしているのか、自分じゃ、わからない。
でもきっとこの気持ちが隠し切れずに表情に出てしまっているのだろう。
片腕を顔に乗せて、隠した。
「見るな、バカ」
「……まぁいいか。今日その顔見られただけでも収穫ってことにしといてやる」
立ち上がる気配、そして遠ざかる足音、ドアの開く音……。
「また明日」
パタンと閉まる扉に、なにも声をかけられなかった。
一体あたしはどうしちゃったんだろうか。
アイツのキスに、慣れ始めてる。
それだけじゃない、アイツに今までとは違う感情が芽生えつつあるんじゃないだろうか?
「考えたくない」
考えたくなくても、蘇るあの時の感触、優しい手、どうすればいいのかわからない。
頭の中はぐちゃぐちゃ。
アイツといると疲れる、やだ。
記憶と感情を思い出しているうちに、いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。