女王のココロを奪うkiss(休載)
音楽室へ着くと、祐斗は凛に向かって聞いた。
「ここでいいかな?椅子とかなくて悪いんだけど……」
「あ、はい、全然、お構いなく!」
そう言って二人が壁に背を預けて座ってから、あたしは凛の隣に座ろうとして……。
「そこは俺の隣でしょ?かれん」
にこっとそう言われ、凛の目もあるからしぶしぶ祐斗の隣に座った。
一体何を話そうとしているのだろうか……あたしはハラハラして祐斗の言葉を待った。
「そんなに緊張しなくていいのに」
「えっと、つい……」
えへへと困った顔のまま笑う凛。
こんな男と話して穢れたりしないだろうか、少し心配だ。
「かれんが怖いのはわかるけど、俺怖くないでしょ?ね」
いや、お前は腹黒いから見せてないだけで十分一般人には怖いだろ。
「は、はい」
少しだけ安心したような顔をした凛に、やっぱり祐斗は相手を信頼させることがうまい。
しばらくはごはんを食べながら雑談をしていたけれど、それは祐斗が切り出した一言で終わりを告げた。
「小沼さんはかれんのこと、好きかな?」
それは祐斗がよく使う手だった。