女王のココロを奪うkiss(休載)


音楽室へ着くと、祐斗は凛に向かって聞いた。



「ここでいいかな?椅子とかなくて悪いんだけど……」

「あ、はい、全然、お構いなく!」



そう言って二人が壁に背を預けて座ってから、あたしは凛の隣に座ろうとして……。



「そこは俺の隣でしょ?かれん」



にこっとそう言われ、凛の目もあるからしぶしぶ祐斗の隣に座った。

一体何を話そうとしているのだろうか……あたしはハラハラして祐斗の言葉を待った。



「そんなに緊張しなくていいのに」

「えっと、つい……」



えへへと困った顔のまま笑う凛。

こんな男と話して穢れたりしないだろうか、少し心配だ。



「かれんが怖いのはわかるけど、俺怖くないでしょ?ね」



いや、お前は腹黒いから見せてないだけで十分一般人には怖いだろ。



「は、はい」



少しだけ安心したような顔をした凛に、やっぱり祐斗は相手を信頼させることがうまい。



しばらくはごはんを食べながら雑談をしていたけれど、それは祐斗が切り出した一言で終わりを告げた。



「小沼さんはかれんのこと、好きかな?」



それは祐斗がよく使う手だった。
< 68 / 86 >

この作品をシェア

pagetop