女王のココロを奪うkiss(休載)
「……凛行っちゃったじゃない!」
怒って祐斗の顔を見ると、祐斗は真剣な目で凛の後ろ姿を見ていた。
「あの子……危なっかしいな」
「あぁ、それは否定しない」
「悪い子ではないけど、とにかく危なっかしい」
ため息を一つつく祐斗。
祐斗は女の子と話すとどんなタイプかすぐわかるらしい。
ドジっ子ということは話していなくてもすぐわかったようだ。
「しばらくは様子見かな」
「あたしは大丈夫だと思うけどな」
「まだわからない」
ようやくあたしの肩を離し、腕を組んで壁に寄りかかる祐斗。
あたしはその何かを考えてるような横顔をただ見ていた。
「見惚れてる?」
「違う、何企んでるのかと思って」
チラリ、あたしを見てから腕時計に視線を移した祐斗は、再びあたしに視線を戻した。
「かれん」
その優しい声に、心の奥が反応するのを感じる。
顎に手をかけられ、クイッと引かれる。
目の前には祐斗の見慣れた顔がある。
その目は妖艶で、一瞬であたしの動きを封じ込め、雰囲気に呑み込まれる。