女王のココロを奪うkiss(休載)
近付く顔に、あたしはもう抵抗しようとは思わなくなってきていた。
「逃げないの?」
「どうせ逃がす気なんてないんでしょ」
ピタリと止まったその顔に、少しだけ影が落ちる。
「あぁ、逃がさない」
短いキスを一度落とし、祐斗は離れる。
離れた祐斗の顔は、寂し気に笑っていた。
いつもの祐斗らしさを感じないその雰囲気に、チクリと胸が痛む。
「もう時間だから、教室に戻ろう」
立ち上がる祐斗に続き、あたしも立ち上がり、スカートのほこりを払う。
先に教室を出る祐斗の背中から、どことなく寂しさを感じた。