女王のココロを奪うkiss(休載)
日常を奪う陰
放課後、祐斗はいつも通りあたしの教室まで迎えに来た。
「かれん」
その声に振り向くと、祐斗の肩に腕を置いて抱き着いているような、そんな女が祐斗の肩についていた。
「……何それ」
「離れてくれなくてね」
コイツは高校に来てまで女癖の悪いままなのか……そうあきれ果ててため息をついたところに、祐斗の肩についてる女と目が合った。
じーっと目が合い5秒ほどすると、その女は祐斗から離れ、あたしの方に歩いてきた。
長い髪を揺らして堂々としているその姿は、きっと自分に自信があるから。
祐斗の苦手なタイプだと思う。
いくら女癖が悪いからといってこんな女に目を付けられるなんて、祐斗も運がない。
女はあたしの席の目の前まで来て片腕を腰に当て、笑った。
「初めまして、あなたがかれんちゃん?」
初めましての態度じゃねぇ。
「だったら何ですか?」
「あたし、有紗。よろしくね」
握手を求めるかのように延ばされた手を、振り払いたくて仕方ない。