女王のココロを奪うkiss(休載)
なんというか、図々しい。
自分が上の立場なんだと、他人を見下ろしているような奴だ。
あたしはその延ばされた手には一切触れず、スクールバッグを持って立ちあがった。
「ごめんなさい、アナタみたいなタイプちょっと苦手で」
精一杯頑張って拒否した。
いつもだったらウゼェ失せろって言っているところだ。
でもそんな事言ったらバレる。
いろいろ隠していることがバレる。
そしたら祐斗との契約の意味がなくなる。
あたしの正体を隠す変わりに祐斗と付き合うという契約が。
「ふーん、残念」
目を据えて睨みつけられたところで、あたしはこういうことに慣れている。
それに自分が負けるとは思えないからその有紗って奴の目を睨み返した。
お互いがお互いを睨んでいるこの空間は張りつめていて、それが教室中を凍り付かせていると、ふと祐斗が現れあたしの手を取った。
「帰るよ」
「は?」
するりと流れるように手を取った祐斗はその女に見向きもしないであたしを教室から引っ張り出した。