女王のココロを奪うkiss(休載)
「あ、そうだ、凛!」
「え……え?」
去り際、あたしは顔面蒼白で焦る凛に振り返り、にっこり笑って言った。
「また明日!」
「……ったくかれんは、そんな余裕見せてたら変な奴だろ」
祐斗に小言を言われながら凛に手を振る。
すると凛も困った顔をしつつも振り返してくれたから、あたしは満足した。
最初の友達だからね、大事にしないと。
「普通あんな緊迫した直後に笑顔向ける奴いない」
未だ文句をブツブツ言っている祐斗に、あたしもそろそろ反抗する。
「祐斗だって笑いながらボコるくせに」
「一般人に見られてないからあれはいーの」
そんなにプンスカなにを怒ってるのか。
あたしがあんなくらいなことで負けないことくらいわかってるくせに。
「かれん、お前がなに考えてるかくらいわかってるけどさ」
「……チッ」
幼なじみというのはやっぱり不便なものである。
階段を上り、人気のない場所まで来ると、祐斗は振り返った。
その瞳は真剣そのもので。
「あの女はヤバい。厄介者。なにしでかすかわからない策士だ。出来るだけ関わるな」