女王のココロを奪うkiss(休載)
考えていると、じっと見られている視線を感じた。
視線の先にいる祐斗と目が合うと、眉を顰められた。
え、なに?
なんでそんなにあたしの顔見てんの?
あたしも眉をひそめて祐斗をみ返す。
「かれんさぁ」
「なに」
「どうやって有紗から逃げてここまで来た?」
……どうやって?
どうやらそこに疑問を抱いていたらしい祐斗。
何言ってんだ、逃げられたならそれでいいじゃんと思う自分。
「言ってごらんよ」
「別に、普通に……」
「普通に?」
「……窓から」
「……何階の」
「三階」
「バカヤロウ」
額に手を当てて項垂れた祐斗に、あたしは困惑する。
え、何、ダメだった?
別に窓から逃げたり入ったりなんてよくしていることだから祐斗が何でそんなに呆れた瞳で見ているのかよくわからない。
ふと祐斗の顔が耳に近づき、困惑したまま、嫌な予感に背筋が凍った。
「説教してやるから来い」
そのまま腕を摑まれ、行き先はなんとなく予想がついていた。
案の定、あの音楽室まで連れていかれたのだ。