泣き虫ベイビー
噂の先生
きっかけなんて、本当に些細なことからだった。
ただの偶然が重なっただけで。
「……あさくら?」
「せんせい…!?」
目の前にいるのがたまたま、高校で人気のある先生であって。
さらには、うちのクラスの担任であって。
ただ、それだけのこと。
「なにしてんですか?」
真っ青な顔で無理矢理作った笑顔。
そんな先生を見ながら、先生の左手の先を見た。
「…結婚してないって」
「え、あ、その…」
いままで、関わることのなかったあたしたちが関わることになった瞬間でした。