真夜中の雨
そして今日の正午。
僕は家族に対しての罪悪感に苛まれる中、誘惑に負けて待ち合わせ場所のラブホテルへとやって来てしまったのだった。
もちろん来ないという選択をすることもできた。
わざわざ有休を取らずに、いつものように仕事へ行けば平穏な毎日を壊さずにいられたはずなのである。
もしこの事が誰かにバレたら…
それを考えるとスーツのジャケットを脱ぐ手が軽く震える。
その拍子にバッジが助手席へと転がっていった。
自然と大きなため息をつく。
何をやっているんだ僕は。
後悔するぐらいなら今から帰ればいいだけではないか。
体を倒し落としたものを拾う。
何もなかったことにして今すぐ帰ろう。
そう考えていたのだが、次の瞬間その案は自分の中から消えることになる。