普通のあなたと片目の私
「…ん……山田さ…ん…」
あんな哀願な頼みを無碍にすることは出来ずに、山田さんに私は抱かれていた。
「美雪…美雪……」
山田さんは優しくしてくれたけれど、どこか余裕がない表情をずっと浮かべていた。
……主導権はそちらが握っているくせに。
「俺は本当に美雪を愛してるんだ……!」
山田さんは寝ている赤ずきんを飲み込もうとする狼みたいだった。
「山田さん……」
「美雪…大好きだ…」
こんなにたくさんの言葉を……どうしたらいいのだろう?
そうして私達は頂点に登りつめたのだった。