普通のあなたと片目の私
「パパ……」
「ん?」
「おかえり。」
「龍騎………ただいまっ……」
山田さんは龍騎を抱きしめた。
「パパ、くるし……」
「美雪、ハァハァ……覚えてるか?」
山田さんが壁にもたれかかりながら立ち上がる。
山田さんのお母さんはそんな様子をただ黙って見つめている。
「俺、美雪の目について思うことあるって…返事したら……結局聞いてくれなかっただろ……」
そんなの聞かなくても分かりきっている。
だから、聞かなかった。