君がいるだけで。
『俺は千菜の味方だ』
もうすぐ文化祭。
放課後の教室で
1人、あたしは残りの飾り付けに没頭していた。
「何やってんの?千菜【チナ】」
「…あっ! さっちゃん」
名前を呼ばれて振り返ると
栗色の髪をいじりながら
藤堂 皐月【サツキ】はやって来た。
“さっちゃん”って
呼んでるけど一応、男の子。
身長も高くて、結構、筋肉質なのに顔が可愛いっていう……ι
「その呼び方やめろって言ったじゃん」
彼は自分の顔がコンプレックスらしく、あたしの呼び方を嫌っている。
「だってー可愛いんだもん。
さっちゃん」
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