君がいるだけで。
皐月の匂いって
落ち着くんだよなぁー……
あたしは自然と
皐月の胸に顔を埋めていた。
「ちょ…千菜……スリスリするのやめて。くすぐったい」
「だってー、さっちゃんの匂い好きだもん」
えへへーと悪そびれもなく
笑ってみせる千菜を皐月は可愛いと思い、そのままにさせた。
「とにかく。
千菜を口説くのは止めろ」
「わかったって!
宮杉は本当に藤堂が好きだよなー……羨ましいわ」
そう言って佐野くんは、
あたしに「バイバイ」と言って何処かへ行ってしまった。
「…佐野くん行っちゃったね」
「千菜?
目の前の彼氏より他の男がいいのか?ん?」
そう聞かれながら
皐月に頬っぺたをつねられた。