君がいるだけで。
首を傾げて悩んでいると
そんなあたしを
皐月はゆっくりと離した。
「じゃ、千菜が誰にも捕られないように今のうちに先約しとくわ」
「へ?なんの先約?」
「はあ……。一緒に文化祭回る先約」
ため息混じりにそう言って皐月は、あたしの頭を優しく撫でた。
あ、そっか!
もともと
その話をしてたんだっけ…
話が色々と飛びすぎて忘れてた
「まあー千菜が嫌なら、
俺は別に……」
「いくいくー!
さっちゃんと回りたい~」
皐月から回ろうと言ってもらえて飛びはねながら、喜んでいると
「だから“皐月”だろ?千菜」
まるで愛しいものを見るような目で囁くと、皐月はあたしに頬ではなく、唇にキスを落とした。