君がいるだけで。
しばらく2人で歩いて
やって来たのは誰も入ってこないであろう、学校の片隅にある資料室。
黙って歩いてきた莉奈は
資料室に入って
ようやく口を開いた。
「なんか、ごめんね?わざわざ……ここまで」
「いいよ、いいよ!
りっちゃん何か悩んでそうだったし。あたしで良かったら
相談のるし!」
りっちゃんを安心させるために優しく笑ってみせると、それを見てりっちゃんも安心して笑ってくれた。
「あの、ね……私、好きな人がいるの」
「……えぇッ!? うそ!
そんなの初耳だよ!」
「うん。だって千菜にしか
言ってないもん」
“千菜にしか言ってない”
その言葉は
どれだけ自分が頼られているかを物語っていた。
りっちゃん……ずっと悩んでたんだ……
だれにも言えずに、ずっと……
その時、
あたしにできることなら
何でもしたい!と、そう思ったんだ。