君がいるだけで。




「ふぅーん。なるほど」



「りっちゃんの頼みも……っ、断れないし…ヒック……」



「ああ」




「このまま……皐月がっ…ヒック、りっちゃんの所へ行っちゃうのも……いや、…だし……」



「ああ」



「でも……、っあたしは……本当にりっちゃんより、ヒック……皐月を好きなのかも、不安っ、だし……」



もう……
わけがわかんないよっ……






「そんなの、簡単じゃん」



しばらくすると
静かな教室に佐野くんの落ち着いた声だけが響いた。


「……へ?」



「つまり!宮杉に藤堂への気持ちがないなら、俺でもいいって訳だ」




だから……



そう言ったあとに
佐野くんは



「俺とキスしてみる?」




そう、あたしに囁いた。






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