君がいるだけで。
『ねぇ、藤堂くん。
あなたにとって千菜は何?』
そう尋ねれば
さっきまで背中を向けていた皐月は莉奈を見た。
『世界一大切な彼女』
そう言って笑った皐月は
誰よりも輝いてみえた。
――――…それから莉奈は
皐月に恋をすることになる。
「……と、こんな感じ。
だから千菜が心配することは
何もないんだよ?」
そう言って優しく笑う莉奈は
あたしの知っている、いつもの“りっちゃん”だった。
「よかった……」
あたしは、ただ
そう呟いて泣いた。
それを見て皐月が
あたしの頬にキスをする。
「もしかして、
コレが不安だったのか?
バカだな、千菜」
「だって本当にあたしでいいのかな、とか不安になったんだもん…」
そんな時
薄暗かった外が、明かりも消えてさらに暗くなり
みんなが騒ぎだした。