君がいるだけで。




そして再び
あたしを抱き抱えた。



「やっ……さっちゃん…!」



「千菜、違うだろ?
さっきみたいに“皐月”って呼んでよ」




そう言って
悪戯っぽく笑う皐月が

どうしようもなく愛しい。



皐月……


あのね、
ワガママなんて言わない


だから、ずっと一緒にいて?


そして変わらない笑顔を、

あたしに見せてね?



それだけで、

充分ってくらい、


あたしは幸せだから





「皐月、大好き」



「…よくできました」





そう言って皐月は
あたしの唇に優しくて甘いキスを落とした。



みんなに祝福されながら


あたし達は夏空の下

より強く、お互いを想い合った。














おしまい





< 53 / 54 >

この作品をシェア

pagetop