蝶響
もういいや・・・
あたしは開き直って、廊下側のいちばん後ろらしい自分の席へ向かった
窓側がよかったな~なんて思いながらも
でも窓側の後ろの5席、空いてて誰もいない・・・
それどころか、みんな近寄ろうともせず、そこだけ異空間のようになっていた
あたしが席に着くと、前の青髪と黄髪がこっちを向いてきた
「俺は藤堂 元だよ。よろしくねー」
そう言って勝手に自己紹介を始めた黄髪は、なんかチャラいかんじ
「俺は塚本 雄。よろしく華乃」
こっちの青髪は、優しい雰囲気
「よろしく」
でもこいつ等も、どうせ地味とか思ってるんだろうな~
「それより華乃は何でこんな時期に転校して来たのー?」
そう元に聞かれて困るあたし
迷うけどやっぱり―――
「ちょっとね・・・」
言えないや
まだ、言えない
あたしの過去を、他人に打ち明ける自信は無いから
「そ、そっか。なんかごめんなー」
元は、ちょっと困りながらも謝ってくれた
「別にいいよ」
あたしの過去を聞いてくれる人なんていないから
これから先もずっと・・・
―――そう思ってたのに・・・