ピュアらぶストーリー。

─実結side─


今日は放課後、翔太くんと一緒に勉強することになっている。


初日の放課後、クラス中に響き渡る大声で翔太くんに呼ばれてから、挨拶が終わると呼ばれる前に廊下に出るようにしていた。


今日も挨拶が終わってすぐ廊下に出て翔太くんを待っているんだけど、一向に来る気配がない。ちら、と隣のクラスを覗くと、もうほとんど生徒は残っていなかった。…その中に翔太くんらしき人もいなかった。


何か用事ができたのかな。…連絡してくれてもいいのに。
ここで待っているのも落ち着かないから私は校内を探してみることにした。



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「うぅっ、寒い…」

秋も終わりに近づき、少し冷え込んだ風に身震いする。

クラブ活動休止期間の放課後はシン…としていて、何か学校が淋しく感じる。


校舎をぐるりと回ったけど、翔太くんはいなかった。
靴箱にまだ靴があったから学校にはいるんだろうけど…まさか入れ違い?

一旦戻ってみようかな、と再び校舎に体を向けた時だった。


「っ、どうしてうちじゃあかんのっ!こんなに好きやのに!!」


という叫びにも似た高い声が、静まり返った学校内に響いた。


好奇心で声のする方へと向かう。
さすがに覗き見してるってバレちゃ駄目だと思って、近くにある木の陰に隠れて様子を伺う。


「…え?」

見えてきた光景に、驚きを隠せなかった。

4日前告白を受けた中庭で、ずっと探していた翔太くんを発見したと同時に、さっきの声の主であろう女の子が翔太くんに抱きついているのが目に入った。


背中越しで翔太くんの表情は見えない。


好奇心なんかで見るんじゃなかった。変な汗が背中を伝うのを感じた。…私、動揺してる。


これ以上見ていられなくて、私は気付かれないようにまた校舎へと戻っていった。
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