ピュアらぶストーリー。
こういうとき、何も見なかったことにしていつも通り接すればいいのかな。
…私には、できそうにないや。
あのあと、教室前に戻った私を追いかけるようにして翔太くんは表れた。
開口一番、「すまん、先生に呼び出されてて、」って言われて、さっきのことには触れちゃいけないって思った。
机を2個くっつけて翔太くんの席の前に私が座る。
いつもと変わらずよく喋る翔太くん。
いつもなら楽しくて面白くて、私もつられて笑ってた。
でも今は…全然話が入ってこないし、ましてや勉強なんてできるわけない。
なんなの、このもやもや。
「…実結?」
心配そうに私の顔を覗きこんでくる翔太くんにハッとする。
…やっぱり、ダメだ。
これ以上考えたら、このもやもやの理由に気づいてしまったら、
私は、傷付く気がする。
「なんや顔色悪ない…?保健室行った方が、」
「大丈夫だから!!」
俯いたまま少し大きな声を出した私に、きっと翔太くんは驚いてる。
「今日…ね、用事あったのに、忘れてたの。だから、帰らなくちゃ…」
ゴメンね、と言いながら開いていた教科書を急いでしまう私を見て、慌てて翔太くんもしまいだす。
「…そうやったんか!俺が待たせてしまったからほんますまん!!」
送ってくわ!って言ってくれたけど全力で断って、しまい終わったかばんをもって一目散にドアに向かう。
また明日、と後ろから聞こえたけれど、私は返せなかった。