ピュアらぶストーリー。

「なんで稲瀬とおるん…?」

しかもこんなとこで!って言われて、ハッとする。


確かに、誤解されてもおかしくない状況だ。

翔太くんとのお昼の約束をすっぽかして、稲瀬くんと誰もいない中庭でおしゃべりして(稲瀬くんにつれさられたんだけどね、ここ重要!)。

しかも稲瀬くんの話だと、翔太くんは私に嫌われてると思い込んでるみたいだし…。



「俺、邪魔やし帰るわ!じゃ、実結ちゃんがんばりや」

ポンっと頭に手をのせられて、スタスタと校舎に向かって歩いていく稲瀬くん。…に、逃げやがった!!


「もしかして実結、稲瀬のこと…」

「ち、違うよっ!!」

帰りたい。この状況から抜けだしたい。


…でもここから去る勇気を私は持ち合わせていない。

ちら、と翔太くんの方を見る。
なんか、悔しそうなかお、してる。


「オレはここ何日かで、前にも増して実結のこと好きになった。実結も、心ひらいてくれとんちゃうかなって、思ってた」

手が、ワナワナしてる。
というか、震えてる…?


「実結がオレの名前呼んでくれるたび、嬉しくて、舞い上がって。でも、違ったんやな」

違うくない、って言えたらいいのに。

自分が傷つくのを恐れて、こんなにも翔太くんを不安にさせてる。
…言わなきゃ。
今、翔太くんは私のせいで傷ついてるんだから。

「あのね、私「全部稲瀬に近づくためやったんやな!!」


…え?
今、何て言った…?


「怒ってるわけちゃうくて、それならしょうがないやんな。ごめんな、嫌々付き合わせてもうて」

「っ、ちょっと待ってよ!!」

さっきまでは素直になれない自分に怒ってたけど、さすがに翔太くんの被害妄想には怒るよ!!
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