ピュアらぶストーリー。
6日目の休日
<翔太side>
今日は土曜日。
ゆとり教育世代の俺らは、当然学校がないわけで。
「(実結に、会えへん…!)」
家でごろごろしてる場合やないのに…。
タイムリミットは迫ってきとるのに…!
とりあえず、メールしてみよ。
「『実結、今ひま?』っと。…。」
いやいや、勉強してるやろ。
逆にこのメール見て俺がひましてることに気づかれるやん。やめよ。
「『勉強がんばってるか(^^)?』…。」
…なんか上からやな。
しかも部屋にこもってる子供の状況を把握しにきた父親が言うセリフやんこれ。
あー、どう送るんがベストなんやろ。
むしろ何も送らないのがベストに思えてきた。
でも、少しでも実結と繋がっていたいし。
うんうん捻っていると、急にケータイが鳴り出した。
しかも、俺のお気に入りのこの着信音は…!
「っ、もしもし」
『わっ出るの早いね。…今、休憩中、かな…?』
勉強していたことを前提に聞いてくるのがさすがやと思った。
まぁ、勉強してても嘘つくやろうけど。
「おん!どうしたん?」
『や、特に用はないんだけどね、』
ずっとメール送ろうと悩んでただけに、実結のほうからしかも電話をかけてきてくれたのはかなり嬉しい。
けど、ここは平静を保つんや。
『その…ちょっと話したいな、って』
え、何、かわいっ。
受話器の向こうで真っ赤になってる実結を想像して、幸せな気分になった。
「…俺も、話したかった」
ちょっと会わないだけで、こんなにも切なくなる。
今までこんな気持ちになったことなんかなかったから、戸惑った。
でも稲瀬の言った通り、素でいればいいんだと、思った。
それから会えない寂しさを埋めるように、俺たちは1時間くらい話した。
途中実結の通話料を気にして切ったけど、再び俺からかけ直して喋り倒した。
そして一昨日果たせなかった勉強会の約束をして、その後は寝るまで机に向かった。