ピュアらぶストーリー。
一緒にお昼
─実結side─
「(あっ、高橋くん…)」
昼休み、購買から帰ろうとしていたとき、高橋くんを発見した。
昨日のことがあったから、なんかちょっと気まずくて、気づかれないように行こうとしたけど、その心配はなかった。
高橋くんの周りには2、3人女の子がいてなんか絡まれてる。
調理実習で作ったんだよぉー、ってカップケーキを差し出す女の子に、おおきに!って笑ってそれを受けとる高橋くん。
今まで何度かそんな光景を見てきたはずなのに、何故か胸がチクッと痛んだ。
「あっ、桐島さん!!」
気づかれないと思って、油断していた。
カップケーキを持って走ってこっちに向かってくる高橋くんの背後で、不満そうな顔の女の子たちが目に入った。
「お昼はパンなん?おいしいやんな、そのメロンパン!」
オレもな、よく買うねんけど、って笑顔で続ける高橋くんに、一緒に購買に行っていた友達の由奈がびっくりしていた。
「え…と、うち、教室戻っとくな!」
「あ、時間とらせてスマン!大した話じゃないし、じゃあ桐島さん、また」
「あー、うち、今日他のクラスの子と食べる約束してるんやった!!ごめんな、実結、高橋くんよろしく!!」
何かを察したらしい由奈が、走って帰って行ってしまった。ええええそこ空気よまなくていいよ!
どうしようかと悩んでいると、高橋くんがポツリとつぶやいた。
「もし、よかったらなんやけど、…一緒に食べへん?」
そんな子犬みたいな目で言われたら、断れません。