ピュアらぶストーリー。
お昼ご飯を持って、私たちは屋上に来ていた。
「桐島さんって、1年の後半に引っ越してきたんやんな?」
「うん、そうだよ。前は関東の方に住んでたんだけど、お父さんの転勤で」
「せやったんか。大変やったやろなぁ」
食べはじめてちょっとしてから、私の過去の話になった。
前の学校の話しとか、関東と関西の違いとか、会話が途切れることはなかった。
「…オレな、桐島さんが転校してきてすぐの時、周りに馴染めんくて半泣き状態の桐島さん見て、そっから気になってて、」
もうそろそろ食べ終わろうとしてたとき、真剣な顔になった高橋くんが話し始めた。
ちら、と高橋くんのお弁当を見るともう空だった。さすがスポーツマン。
「部活前に忘れ物して教室行こうとしてたら、隣のクラスから声が聞こえて…。誰やろ、って覗いてみたら桐島さんと溝上さんがいて」
私と…由奈?
そういえば私と高橋くんって、1年の時も隣のクラスだったんだっけ。
「桐島さん、お笑いの練習してんねん。慣れない感じで、なんでやねん!って、眉間にしわよせてツッコンでんねん。」
み、見られてた…!!
あの時は関西のノリとかわかんなくて、周りに溶け込めてなかった私に仲良くなった由奈が、うちが協力したる!!って言ってお笑いの特訓してたんだっけ。
今思い出すと、すごく恥ずかしい…。
「それが面白くて、なんや愛しく感じて。それから桐島さんのこと目で追ってるうちに、…好き、になってた」
きっかけがアレだけど、もう一度好きって言われて顔が熱くなるのを感じた。
私が転校してきたのが1年とちょっと前だから、そんなに長いこと好きでいてくれたんだ。知らなかった。