愛の囁きを[短篇]
愛の囁きを
Honami
「穂波!壱君、来てくれたわよ!」
朝の8時。
私の目覚めは母の怒鳴り声から始まる。
寝癖でぐしゃぐしゃの髪を軽く駆使で梳かし、顔を洗い、制服に着替える。
「今起きたから、壱には先に行ってって言って!」
口の中に食パンを詰め込み、
コーヒー牛乳を流し込む。
テレビでは最近話題の連続通り魔の特集をやっていた。
「怖っ…」
ごくん、と飲み込み、
歯を磨き、玄関へ急ぐ。
「あんた、もっと余裕を持って行動しなさいよ…」
「だって、眠いんだもん。」
せっかく壱君が来てくれただの
あんたはいつもトロイだの
ぐだぐだ文句を言われ、家を出たのは8時半。
「あーっ!朝からうるさいんだから!」
「お前も十分うるさいんですけど。」