愛の囁きを[短篇]



ぅえ!?




家のドアに向って怒鳴った瞬間に聞こえた声。






「な、何で居るのよ!先に行けって言ったじゃん。」

「誰が了承したよ?」





直ぐ後ろに立っていたコイツ。
田島壱。


かれこれ18年間のお付き合い。
いわゆる幼馴染。





ふんっと鼻を鳴らし、私を見下げる壱。
ちなみにお隣さんでもあったりする。





「はぁ~…」

「何、嫌そうな顔。」





鞄を肩に掛け、
私の鞄を奪い取る。






「ちょ!返してよ!」

「俺が運んでやるんだよ。感謝しろ、感謝!」







高々と持ち上げられた私の鞄。
手を伸ばしても届く気配すら感じられない。






「頼んでないけど!」

「当たり前だろ、俺、頼まれてねぇし。」







あぁ、
今日もコイツは我侭を通すのね。



< 2 / 23 >

この作品をシェア

pagetop