愛の囁きを[短篇]
ぅえ!?
家のドアに向って怒鳴った瞬間に聞こえた声。
「な、何で居るのよ!先に行けって言ったじゃん。」
「誰が了承したよ?」
直ぐ後ろに立っていたコイツ。
田島壱。
かれこれ18年間のお付き合い。
いわゆる幼馴染。
ふんっと鼻を鳴らし、私を見下げる壱。
ちなみにお隣さんでもあったりする。
「はぁ~…」
「何、嫌そうな顔。」
鞄を肩に掛け、
私の鞄を奪い取る。
「ちょ!返してよ!」
「俺が運んでやるんだよ。感謝しろ、感謝!」
高々と持ち上げられた私の鞄。
手を伸ばしても届く気配すら感じられない。
「頼んでないけど!」
「当たり前だろ、俺、頼まれてねぇし。」
あぁ、
今日もコイツは我侭を通すのね。