愛の囁きを[短篇]
私が決めたこの高校。偏差値も結構高く、頭の悪い壱じゃ絶対に無理といわれていた。
なのに、どうしても同じ高校へ行く、そう突き通して受けた私と同じ高校。その意味は、こういうことだったのだろうか。
「壱、私…壱のこと、好きだよ?」
「ん…。」
そう、ずっと昔から。
壱と出会ったあの日から。
きっと私は恋に落ちていた。
幼馴染。
ずっと近くにいて
気付かなかった恋心。
ほんのりピンクにそまる壱の頬。
「…ホント、気付くのおせぇ。」
「言ってくれなきゃ分かんないよ…」
壱の胸にぎゅっと顔を押し付けて、自分の力、精一杯で壱を抱きしめた。
「んなこと、恥ずかしくて言えるわけねぇだろーが」
「馬鹿壱。」
ぽんぽんっと私の頭を叩き、
やさしく私の顔を誘導する。
毎朝待っててくれてるのも、私の鞄をいつも奪うのも、私の部屋に勝手に入ってくることも、壱の精一杯の愛情表現だった?
「…もう、我慢しねぇから。」
「…いいよ。」
ゆっくり触れた唇は
ほんのちょっぴり涙の味がした。