愛の囁きを[短篇]
「つーか、俺を避けるなんて良い度胸してんじゃんか。」
「ひっ…」
壱の話によると、我が母はいつものように壱家で世間話に花を咲かせているらしい。
二人でソファーに腰を下ろし、
ゆったりしていた、のに。
するっと肩に回る手。
にやっと笑うやけに近い壱。
「~っ//」
「何?その気?」
「ち、違うから!」
すっと立ち上がり、私の正面に移動する奴。
「ん?」
「…意地悪。」
目線に合わせ腰を落とし、私の頭の横に両手をつく。
「穂波。」
「な、」
何よ、そう口を開いたのが間違いだった。
この手に引っかかるのは2度目。
ううん。
これからもずっと、
この魔の手に引っかかるような気がする。
熱い口付けに目を閉じて
貴方を感じた。
「穂波、すげー好き。」
「…ちょ、照れるから!」
幼馴染。
今までの私達の関係が
今日、変わった。
END