愛の囁きを[短篇]
佐奈に言われて、思いっきり意識しちゃってる私。
「好む…か。」
ゴロゴロと開いた辞書のページを見つめる。
確かに、確かに
壱は好きだけど。これって愛情?
…良く、分からない。
「何やってんの?」
「ぎゃっ!」
制服のままゴロゴロする私を怪訝そうにドアの近くから見つめるのは、今私の胸の中の約90パーセントを占める壱。
どきん、どきん。
まただ。
心臓が言うことを利かない。
「辞典なんて見て、日本語の勉強?」
「んなわけないでしょ!」
いくら馬鹿な私でも、
日本語の勉強なんてするわけがない。
普通の勉強もしないってのに
なんで好き好んで日本語の勉強なんてするんだよ!
辞典を胸に抱えながら
壱から視線を離し、天井を見上げた。
「てか、何で勝手に入ってきてるのよ」
「もう何回も来てんだから今さらそれ、言う?」
ギシっと音を鳴らしながら私の寝転ぶベッドの上へと壱が腰をかける。
そして取り出したのは携帯。
メールか何かかな?
壱はずっと携帯を弄っていた。
「…自分の家にいればいいじゃんかー」
「1人で部屋に居ても暇だろ?」