甘い無口な彼氏



「ん」


違う男子と話していた透弥くんが、こっちに向かってくる。
でも、部活三昧な透弥くんを海に行かせるって……どうやって?


「なーなー、俺ら海行っていい?」

「?行けば?」

「比奈!河南!海行っていいってよー」

「本当に!?比奈の水着姿が見れるのーっ!?」


明らかに演技なオーバーリアクションで会話(?)をする伶くんと河南。
こんなんで透弥くん来てくれるの…?


「比奈は綺麗だから色んな男が寄ってくるだろーなー」

「水着だから、襲われたらどーしよー!」

「遊びに夢中で気付かなかったらゴメーン☆」


舌を出しておどける伶くんと、ニヤニヤする河南。
襲われるって!何を言ってるんだ!
と思っていれば、透弥くんの視線が私に向く。


「…比奈は海行きたいの?」

「うん!行きたいよ!」


えへへー、と笑えば何故か眉根を寄せた透弥くん。え、と焦れば。


「…それ、俺も行く」

「………え」


ええええええええっ!!!
す、すご!伶くんと河南すごっ!


「でも透弥くん、部活は…」

「部活休みの日にして」

「はーいっ」


乙女みたいな言い方をした伶くんに、透弥くんに聞こえないくらい、小さな声でありがと、とお礼を言えば、いーよ。と笑ってくれた。



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