空に恋をする
第一章
秋空
カタカタ…と、ゆっくり店のシャッターを開ける。
すると外から射す日差しが、店の中を満たした。
スズメかな?
チュンチュンと可愛い鳥のさえずりが聞こえる。
店先に花を並べて、う~ん…と伸びをする。
見上げたら、清々しく晴れた、綺麗な秋の空。
気持ちいいなぁ。
花も喜びそうだ。
僕の名前は
青野 梓(アオノ アズサ)。
僕の母さんの、小さな花屋で働いている。
でも、もう何年か前に母さんは病気で
天国に逝ってしまった。
だから今は僕の店みたいになってる。
父さんは花の仕入れには行くけど、店には出ない。
店に出るのは僕だけだ。
店を開けるのは午前十時から。
陽が高く昇ってる時間。
夏の頃と比べたら今はとても涼しくて、花にとっても快適な季節。
「すいませーん!」
店の奥で準備をしていると、十一時になって今日初めてのお客さんが来た。
高校生くらいかな。
二人の男の子が店の前で僕を呼んでいた。
「三千円までで、見舞い用の花束作って欲しいんですけど…。できますか?」
「お見舞いですか? はい、大丈夫ですよ」
そう言うと、二人は安心した顔を見せる。